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沿線の達人/竹谷孝一さん(東京薬科大学薬用植物園 園長)・後編
【暮らし】【全線】
後尾明子」さんによって書かれた記事です。  
この記事は前編と後編に分かれています。
前編をまだお読みでない方は、まず前編からご覧ください。

<前編の内容>
●生の薬草を見ることができる、貴重な植物園
●薬草の知識がなくても楽しめる

●特効薬のルーツは薬草にあり

東京薬科大学の薬用植物園で園長を務める竹谷孝一さん(写真-上)。竹谷さんは同大学の教授でもあるので、学生に対して薬草の知識を講議するほか、薬草の薬効成分を発見するために日々研究を行っています。
「昔は病気になると薬草で治したものでした。しかし、薬草というのは個体によって有効性分の含まれている量が大きく違います。だから、同じ量の薬草を摂取しても、体に現れる効果はまちまちです。長年の勘がないと適量を使いこなすことが難しいものですし、薬草がたまたま周囲に生えていなければ病気を治すこともままならなりません」

そこで必要になってくるのが、誰が飲んでも病気を治すことができるということと、自然条件に左右されず薬を入手できるようにすることなのだとか。
「今私たちが飲んでいる薬はどう作られるのかというと、まずは世界中からたとえばガンに効くとされている薬草を集めるんですね。そして、その中からどの成分がガンに効くのかをさまざまな実験を繰り返して見つけていくんです。見つけたら有効成分の化学構造を決めて、人工的に合成できるようにもしていくんですよ」
医学の進歩には薬の進歩も大きな影響を受けているのがよく分かります。

●薬草を求めてジャングルの奥地まで

薬草の研究をするためには、薬草を収集する必要があります。しかし、医学が進歩した現代の日本では薬草市が姿を消してしまいました。そこで竹谷さんは、発展途上の東南アジアや南米などに足を運び、薬草を収集したこともあったのだとか。
「アンデス山脈やアマゾンの奥地に分け入って薬草を探したこともありました。つくづく思いますが、どこの国でも一番求められるのは滋養強壮に効果のある薬草なんですよね。ふだん元気でいることを誰もが求めているんだなあと実感しましたよ」
そして海外へ行くと、思わぬ発見もあるそうです。
「昔日本人が新天地を求めて南米へ移民しました。ジャングルに分け入り、多くの人がマラリアで亡くなって、それでも努力を重ねてコショウや麻の栽培を軌道に乗せたんですよね。だから現地の人はものすごく日本人の勤勉さを評価していて、南米はどこの国へ行っても日本人の評価がいいんですよ」

ちなみに現在はどこの国でも薬草の流出に敏感になってきており、生物の多様性条約というものができて昔ほど薬草採取が自由にできなくなっているのだとか。そこで、発展途上国からの留学生を受け入れる際に現地の植物を持ってきてもらい、国どうし共同研究の契約を結んで研究しているのだそうです。
こうして新たな特効薬が次々に生まれていくんですね。

それにしても、普段なにげなく見ている植物から、昔の人が薬効を見つけたこと自体感慨深いもの。達人曰く、毒草の毒を薄めて薬として使っていたという記録も残っているのだそうです。これには驚きですよね。
こうした視点で薬草を眺めてみると、さらに興味が湧いてきます。
緑豊かな薬用植物園を散策しながら、先人の知恵に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

information=============================
東京薬科大学薬用植物園
住所:
〒192-0392
東京都八王子市堀之内1432-1
URL:
http://www.toyaku.ac.jp/plant/
平山城址公園駅または京王堀之内駅よりバスで8分
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掲載日付:2008/06/18
沿線ライター:後尾明子さん
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