落語や落語家をテーマにしたドラマや映画が次々と出て、世の中はちょっとした落語ブーム。それがきっかけで落語に興味を持ち、寄席に足を運ぶ人も増えているようです。
しかし、落語を聞く機会はあっても、実際に演ずる機会は限られています。学校の落語研究会で活動するか、落語家に弟子入りするくらいしか選択肢はなさそうにみえます。
しかし、社会人になってから落語を演ずる機会は、皆無というわけではありません。全国にはいくつものアマチュア落語サークルがあり、そこに入れば趣味で落語を演じることができるのです。
そこで、今回の「達人」としてご紹介するのは、アマチュア落語サークル「多摩落語 寝床の会」会長の、山田昇さん(写真-上)。寝床の会は10数人のメンバーを擁し、永山・聖蹟桜ヶ丘近辺で精力的に活動しています。
●上方、古典、創作…かける落語は多種多様
今回の取材では、寝床の会の寄席を見る機会に恵まれました。この寄席は、聖蹟桜ヶ丘駅前の関戸公民館ロビーで「せいせき桜まつり」の協賛事業のひとつとして行われたものです。
場内の70席ほどの座席は満員。ロビーを通りかかる人たちも足をとめて落語に見入るという盛況ぶりです(写真-中)。
そんな中で行われた寝床の会の寄席は、上方落語あり、創作落語ありと、演ずるメンバーによって実にバラエティ豊かでした。
間合いの取り方や所作などは皆さんこなれており、いかによく稽古しているかが分かります。古典落語であっても、話のところどころに時事ネタが盛り込まれていて、聞いていると思わずニヤリ。
トリをつとめる本職の落語家、三笑亭可龍(寝床の会顧問)さんの創作落語「狂言マック」(桂花丸作)では、世間を賑わすスキャンダルを茶化すようなきわどい笑いが満載で、お腹がよじれるほど笑ってしまいました。
●さまざまな思いをかかえながら集まってくるメンバーたち
そもそも、寝床の会が発足したのは、今から24年前。多摩市公民館で開催されていた落語教室で、浮世亭写楽師匠(杜氏。現・9代目三笑亭可楽師匠)に落語を習ったメンバーが、教室を離れてサークルを結成したのがはじまりでした。以後、稽古と寄席を定期的に行い、ときには可楽師匠や弟子の可龍さんの応援活動も行っています。
寝床の会の年齢層は30代から70代。主に多摩市の有志が集まって活動していますが、最近はインターネットで遠方からも集まってくるのだとか。「元落研で、社会人になっても落語がしたい」というメンバーもいれば、「お年寄りの前で落語をして喜ばせたい」「定年後の趣味として」というメンバーもいて、落語をしようと思ったきっかけは人それぞれです。
ところで、サークル名である「寝床の会」の由来は、いったいどのようなものなのでしょうか?
「『寝床』とは、古典落語のネタのひとつです。大店の旦那が、趣味の下手な義太夫を嫌がる知りあいにむりやり聞かせようとする話なんですが、私たちもこれと同じだという謙遜の意味で命名しました」
「寝床」という言葉には、サークルの活動理念も反映されています。
「素人の落語サークルって、よく『天狗連』と言われるんです。落語を知ってるんだぞ、聞かせてやっているぞと、天狗になってしまいがちなんですよ。でも、本当に天狗になってしまうとお客さんにとって嫌みに聞こえてしまって、話が面白くなくなるんです。だから、お客さんにはボランティアで聞いてもらっている。聞いてもらうだけでありがたい、という気持ちで活動していますね」
ボランティアだからこそ、寝床の会メンバーが行う寄席は木戸銭(チケット代)を取りません。最近笑っていないと思ったら、寝床の会HPを見てぶらりと寄席に行ってみてはいかがでしょうか?
この記事には続き(後編)があります。
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多摩落語 寝床の会
URL:
http://nedokonokai.com/index.html
永山、聖蹟桜ヶ丘で活動中
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掲載日付:2008/05/21