沿線の達人/福井隆さん(紙よし村 店主)・後編:街はぴライター 投稿記事

沿線の達人/福井隆さん(紙よし村 店主)・後編
【暮らし】【全線】
後尾明子」さんによって書かれた記事です。  
この記事は前編と後編に分かれています。
前編をまだお読みでない方は、まず前編からご覧ください。

<前編の内容>
●コンクリートと木と紙が同居するお店
●本物の良質な紙に触れてほしい

●細かい調整が必要な、くらやみ祭りの役員も引き受ける

府中で江戸時代から11代続く、和紙専門店「紙よし村」の店主を務める福井隆さん(写真-上)。福井さんはGWに行われる大國魂神社の例大祭(通称:くらやみ祭り)の役員も兼務しています。
お店が社のすぐ隣に位置しており、過去に「一の宮」という一番古いお神輿の輿長経験があるという事情もあって、調整役をすることになっているのだとか。

一の宮を丁寧に修繕して、次世代へ受け継いで行くのがくらやみ祭りでの福井さんの仕事。
そのために、お神輿の全貌や一つひとつの部品について、細かく記録しています。
「年が明けると、くらやみ祭りのことで頭がいっぱいになります。今年は提灯は足りるかなあ、綱は弱っていないだろうか…なんてね」

また、福井さんのもとには、お祭りに携わるさまざまな立場の人々の意見を調整する役割も巡ってきます。それができるのは、この町で長年商売をしてきた由緒正しい老舗の店主である福井さんだからこそ。加えて、福井さんの人柄が皆に頼りにされるからこそなのでしょう。

●思いきり騒いでパッと忘れる府中っ子魂

福井さんがこのように心を砕く「くらやみ祭り」ですが、最近のお祭りの風潮にはひとこと言いたいこともあるのだとか。
「今はお祭りでケガをしたときのために、保険をかける時代になってしまいました。ちょっと羽目をはずすと、各所からお祭りの運営について指導が入る。しかしこれはお祭りの姿勢としてどうなんでしょうね。そもそもお祭りっていうのは、厳しい法律や身分制度でしばられてきた民衆が、1年に一度神の名を借りてストレスを発散する貴重な機会なんじゃないかと思うんですよ」
福井さん曰く、「御輿担いで怪我しても自分持ち」。もしも祭りの喧噪で怪我をしたのなら、「あ、俺は神社に不敬の念があったからこういう罰が当たったんだな」という心持ちでいてほしいのが本音のようです。

そんなお祭りの精神を現す言葉が、5/6の夕方に行われる「鉢洗い」という名の打ち上げなのかもしれません。
「鉢っていうのは昔の言葉で頭蓋骨のことを言うようなんです。要するに、お酒の力で頭の中のもやもやを洗ってしまおうということでしょう。足を踏まれた、提灯で殴られた、喧嘩をした、などといったお祭りで起こったいざこざは、この鉢洗いでもってさっぱり忘れましょうって考え方があるんですよね」
いざこざは来年にまで持ち越さない。なんとも気持ちのいい精神ですよね。

まもなく迎えるくらやみ祭りですが、神社周辺の人々はこのお祭りに向けてどんどん神経が高ぶり、気性が荒くなっていくのだとか。
駅前には大型の店鋪が立ち並び、郊外の一大都市として栄えている府中市ですが、昔から続く府中っ子魂はまだまだ健在です。
宿場町を支えてきた人々の心意気を感じるのも、街歩きの楽しみのひとつなのかもしれません。
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紙よし村
〒183-0022
東京都府中市宮西町2-17-2
TEL:042-361-2022
営業時間:9:30~18:30(毎週日曜休、及び不定休)
京王線府中駅徒歩5分
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掲載日付:2008/04/16
沿線ライター:後尾明子さん
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