この記事は前編と後編に分かれています。
前編をまだお読みでない方は、まず
前編からご覧ください。
<前編の内容>
●収蔵品を展示するだけでもひと苦労
●古道具に命を吹き込み、昔の生活を再現する
●お仕着せではなく、オーダーメイドの学習時間を提案
調布市郷土博物館で学芸員を務める平自由さん(写真-上)。平さんは、小学校の先生と協力して、よりよい授業を作り上げていくことにも労力を惜しみません。
「調布市では、小学校3年生に郷土学習というカリキュラムがあり、小学生が郷土博物館に訪れます。従来は皆で展示品を見ながら学芸員の説明を聞いて館内を回るという方式で行っていたのですが、先生から『児童に見せたいものが展示されていない』と言われることもあったんです」
そこで「せっかくの貴重な学習の機会だから、満足のいく内容にしたい」と、平さんは事前に小学校の先生に呼びかけ、話し合いの場を作ることにしました。先生からは何を展示してほしいか、どういうことを学習させたいかなどの、さまざまな希望を聞き、博物館側では何が用意できるのか、その内容の授業を行うならどのくらいの時間が必要かということなどを伝え、お互いの条件をすり合わせながら郷土学習の内容を決めていったのです。
「声をかけた当初は、先生も忙しいでしょうから、せいぜい話し合いには5~6校集まればいいのかなあと思っていました。しかし、ふたを開けてみたら市内のほとんどの学校が集まったんですよ」
より良い教育を行いたいという、平さんと先生達の熱意のほどがうかがえるエピソードですね。
●郷土学習は下準備にもひと苦労
こうして小学校の先生と話し合いをした結果、今年(2008年)の1~3月には多くの小学校が郷土学習で博物館に訪れました。
ここでも、平さんは昔の農具を動かせるように修理し、子どもたちにより実感を持って見学してもらえるよう心を砕きました。
「稲の脱殼機なんて、漠然と眺めるよりも、実際に使ってみた方がインパクトがありますよね。機械を動かすと子どもたちの顔が急に輝き出すのがよく分かります。それから、石臼で大豆やお米をひいて、きな粉や団子の粉を作ったりもしましたが、2時間かかっても数個分程度の量しか粉ができないんです。お腹いっぱい団子を食べるためには、どれだけの労力が必要か、実感できたんじゃないでしょうか」
ちなみに、脱殼機を動かして、米の収穫体験をするために、平さんは農家である実家から本物の稲を調達しました。
「せっかく稲を確保したのですが、思わぬ落とし穴がありました。稲の収穫は11月ですが、郷土学習は年明けからです。だんだん稲が熟して、お米が落ちてしまうんですよ。ちゃんと脱殼機にかけられるのか、最後までひやひやしましたね」
道具というものは、その当時のライフスタイルに合わせて使われるもの。古い道具を今の時代にあえて使うと、予想外のハプニングが起きてしまうこともあるようです。
このように、平さんをはじめとする博物館のスタッフは、訪れる人の知的好奇心を満たすために、さまざまな努力をしています。
博物館で展示している発掘物や古道具は一見地味なので、考古学ファンや歴史ファン以外の人にとっては、敷居が高いと感じることがあるかもしれません。
しかし、ひとたび博物館に訪問し、学芸員にいろいろと質問してみれば、調布という場所で昔の人がどのような生活をしていたのか、市内の地形にはどのような意味があったのかなどがよく分かるはずです。すると、今まで見過ごしてきた市内のさまざまな場所に興味がわいて、お出かけがもっと楽しくなるに違いありません。
調布市の新たな魅力を発見したいのなら、一度行ってみてはいかがでしょうか?
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調布市郷土博物館
〒182-0024
東京都調布市小島町3-26-2
URL:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/
contents/1176118850606/index.html
京王相模原線京王多摩川駅下車徒歩5分
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掲載日付:2008/04/02