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沿線の達人/平自由さん(調布市郷土博物館 学芸員)・前編
【暮らし】【全線】
後尾明子」さんによって書かれた記事です。  
調布市内の多摩川に近い一角に、調布市郷土博物館があります。
ここでは、旧石器時代から現代に至るまでの、調布市内に残る資料が収蔵・展示されています。特に、館内には、重要文化財に指定された、貴重な縄文期の出土物も展示されており、考古学ファンなら一度は訪れる価値がある博物館といえるでしょう(写真-上)。

そして、今回の達人は、博物館で学芸員をつとめる、平自由(たいら じゆう)さん(写真-中)。20年以上にわたって市内の遺跡を発掘し続けた後、昨年からは博物館の学芸員として、市内の社会教育の充実化に積極的に取り組んでいます。

●収蔵品を展示するだけでもひと苦労

平さんの現在の主な業務は、郷土の資料の展示をすることです。テーマに合わせて倉庫の収蔵品の中から展示するものを探し出し、このスペースならいくつくらい展示できるかを考え、さらに展示品をどうしたら効果的にディスプレイできるかを考えるのです。
・・・と、文字で書いてしまうと、とても簡単なことのように思えるのですが、お話を伺っていると、これが実に骨の折れる作業だということが分かりました。

そもそも「調布市の昔の生活を偲ばせるもの」を収蔵・展示するのが、郷土博物館の役割。博物館の倉庫には遺跡で発掘された土器や貨幣などから、ひと昔前の道具や機械まで、実に雑多な物が収蔵されています。
このような施設の性質もあって、市内の施設や民家から「もう使わないけれど、捨てるのは気が咎めるから」と古い機械や農耕機具を寄贈されたり、市役所からも過去の広報写真やフィルムの保管を依頼されたりして、倉庫は物がたまっていく一方なのだとか。とはいえ、一見がらくたに見える「もう使わなくなった道具」は、将来「昔の人が使っていた道具」に変化するわけですから、おいそれと処分するわけにはいきません。
物は増えて行く一方なので、どんどん収納スペースは減っていきます。ですから、現在倉庫はすし詰め状態なのだそうです。

「とにかく倉庫からお目当ての品物をひとつ出すだけでも大変です。大きな機械は、分解して保管していることもありますから、すべての部品を探し出して組み立てるだけでもひと仕事ですよ」
展示に必要な品数は通常数十個。しかし、実際に展示する数よりも多く取り出した上で、テーマに沿うよう何を展示するのか厳選していかなければ、お客さんが楽しめるような展示内容にすることは難しくなります。
しかも、博物館内の展示は年4回、それに加えて市民会館の展示室など、館外に出張して展示が行われることもあります。これだけの仕事量を平さんを含む3人の学芸員でフォローしなければいけないのですから、いかに労力のいる作業かということがお分かりでしょう。

博物館に提供された物品が展示物として日の目を浴びるまでには、こんな苦労が隠されているというわけなのです。

●古道具に命を吹き込み、昔の生活を再現する

平さんの仕事は、収蔵物の展示だけではありません。市内の小中学校から、「授業に使うので収蔵品を貸してくれないか」という要請があれば、貸し出しをすることもあります。
しかし、要請に応じて“ただ品物を貸し出して終わり”ということにはしたくないと、達人は語ります。
「小学校1年生の国語の教科書に、『狸の糸車』というお話が載っていて、それを授業で取り上げる時に、動かなくてもいいから、実際の糸車を児童に見せたいという先生からの要請がありました。せっかくだから、実際に動かして糸を紡いでいるところまで見てほしいと思ったので、動かなかった糸車を修理し、綿の塊を用意して、貸し出したんです。先生の世代でも、糸車を使ったことのある人はそういませんから、実際に動かしてみて、作品の世界がはっきりとイメージできたらしく、とても喜ばれましたよ」

道具というものは、実際に動かしてみないと、その魅力は伝わりません。動かなくなった道具に命を吹き込むことまでするのが、達人の心がけなのですね。
「こんなふうに皆さんの喜ぶ顔が見たいから、この博物館に何があるのかはっきりと把握し、すぐに貸し出せるようなシステムを作っていきたいなあと思っています。もっともっと皆さんが歴史的な資料や古道具とじかに触れあい、昔の人の生活を身近に感じてもらう機会を増やしたいですね」

この記事には続き(後編)があります。続きを読む

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調布市郷土博物館
〒182-0024
東京都調布市小島町3-26-2
URL:http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/
contents/1176118850606/index.html
京王相模原線京王多摩川駅下車徒歩5分
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掲載日付:2008/04/02
沿線ライター:後尾明子さん
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