沿線の達人/野田憲一郎さん・吉川正人さん(「馬場大門のケヤキ並木」保存に取り組む人々)・前編:街はぴライター 投稿記事

沿線の達人/野田憲一郎さん・吉川正人さん(「馬場大門のケヤキ並木」保存に取り組む人々)・前編
【暮らし】【全線】
後尾明子」さんによって書かれた記事です。  
京王線特急で新宿から約20分の位置にある府中駅。改札口を出るとすぐに目に入ってくるのが、新緑の季節にはまるで緑のトンネルのように市街地を覆う、立派なケヤキ並木です。
府中を代表する神社、大國魂神社から北に伸びる参道沿いに植えられている、この「馬場大門のケヤキ並木」は、なんと大正13年に国の天然記念物として指定されており、たいへん貴重なものです(写真-上)。

全国に誇るこのケヤキ並木を保存するため、日々調査と広報活動を行う、府中市文化財担当の野田憲一郎さんと東京農工大学助教の吉川正人さんが、今回の「達人」です(写真-中)。

●江戸の頃から府中を見下ろすケヤキ並木

達人の仕事ぶりを紹介する前にまず知っておきたいのが、ケヤキ並木のこと。国の天然記念物に指定されているのは、いったいなぜなのでしょうか。
「古木を含めた大きな木が並木として現在まで数多く残っているというのが、指定の理由です。ケヤキ並木が国の天然記念物として指定されているのは、全国でもここだけですね」(野田さん)
全長550mの並木道の中に、152本ものケヤキが植えられている、馬場大門のケヤキ並木。特に並木道の北端にある古木の推定樹齢は350年といわれています(写真-下)。江戸時代の人々が親しんだケヤキが、そこに息づいているのですね。
「私は研究のために山の植生を調査しているのですが、山に自生しているケヤキでも、ここのケヤキ並木ほど大きく成長したものはなかなか見当たりません。ケヤキというのは、もともと谷沿いの水気が多くて柔らかい土壌に生えます。大國魂神社の南側の崖にも自生していますし、ケヤキ並木の場所も、関東ローム層が堆積していて土壌が厚いので、ケヤキの生育には適した土地なのでしょう」(吉川さん)

●さまざまな伝承は、愛されている証

そしてもうひとつ、このケヤキ並木の魅力は、数多くの伝承が残されていることからも分かります。
伝承の中でもっとも古いものは、今から約1000年前、源頼義・義家親子が前九年の役(1051~1062年)の東北遠征の途中に六所宮(現在の大國魂神社)で戦勝祈願をした時期までさかのぼります。前九年の役で戦勝した後、お礼として神社に1000本の苗木を奉納したのが並木道のはじまりとか。また、この故事にあやかり、徳川家康も大阪の陣(1614・1615年)の際にケヤキを奉納したといいます。
「しかし、これらの伝承は歴史書に残されていません。源頼義・義家親子の数ある伝承の中でも木を奉納したという記載は少なく、1000本という数はどこにもないのです。きっと、伝承が広がっていく際に、どんどん話がふくらんでいったのでしょう」(野田さん)
現在では、ケヤキ並木が現在のような形になったのは、江戸時代前期だというのがわかってきました。
「徳川家康が大阪の陣の折、この近辺で育てられた馬で勝利したため、お礼として大國魂神社の北側を馬場として整備して、そこにケヤキを植樹したという記録は残っています。それが馬場大門という名前の由来になっているんですよ」(野田さん)
さまざまな伝承の数だけ、人々に愛されてきたことがうかがえますね。

information=============================
大國魂神社
〒183-0023
東京都府中市宮町3-1
URL:http://www.ookunitamajinja.or.jp/
京王線府中駅より徒歩3分
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掲載日付:2007/06/06
沿線ライター:後尾明子さん
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