切り絵風景ハンティング/多摩動物公園:街はぴライター 投稿記事

切り絵風景ハンティング/多摩動物公園
【文化・歴史】【全線】
久保修」さんによって書かれた記事です。  
 日野市にある多摩動物公園は、今年の5月5日に開園50周年を迎える。こどもの日、というのがなんだかニクイ。これが、9月の敬老の日ではなんだか様にならないような気もするし、文化の日は悪くないけれど、やっぱりこどもの日というのが一番しっくりくる。当初、都内の動物園を所管していたのは東京都建設局で(現在管理運営をしているのは財団法人東京動物園協会)そこのお偉いさん方がみんなでおでこつき合せて、「開園日をいつにするか?」などと、ああでもない、こうでもないと意見しあっていたのかと想像するとなんだかおもしろい。ちなみに「こどもの日」があるのだから「おとなの日」もあってもいいもんだがなぁ、なんて考えてみたけれど、僕の仕事に祝祭日は一切関係がない。関係がないが、それでも祝日が一日増えると嬉しい気がする。毎日心身をすり減らして仕事や家事をしているおとなたちに「なにもしないおとなの祝日」を作ったら面白いと思うのだけれど、どうだろう?
 まずい、ずいぶんと話が脱線してしまった。けれど実は上の話と今回の多摩動物公園、まったく関係がないとは言えないのだ。というのも、僕はおとなを休みにこの動物園に来たのである。
 何も、今日一日おとなをやめてやる! なんて息巻いてここまで来たわけではない。いつもの切り絵画家としての目線でも、大人の目線としてでもなく、こどもの目線に戻って、久方ぶりの動物園を楽しみたいと思って今回やってきたのだ。

 高幡不動駅から京王動物園線に乗り換えればすぐ。正門に堂々と立つのは象の像。(なにもギャグを言ったつもりではないが……。)園内は広く、総面積は52.3ヘクタールもあるという。園内に入ってみて最初に感じたのは、綺麗!だった。昔行った動物園は、独特の獣の匂いや糞の匂いなどがしていた記憶があったのだが、それが感じられない。風が吹いても鼻腔をくすぐるのは冬らしい冷気だけだ。
 緩やかな起伏に沿って、ある場所を目指す。時計はとっくに12時を過ぎている。と、ここまで言えば、僕がどこへいこうとするのか察しの良い方ならわかるだろう。腹ごしらえをするのだ。腹が減っては戦さ、もとい、観覧もできぬ、と勝手な理屈をつけて僕はレストランへ向かった。
 アフリカ園の中にレストランがあり、ガラス張りのレストランから外を眺めれば、キリンやシマウマの姿を見ることができる。長い角が特徴的なシロオリックスが走っている。僕が食べたのはアフリカンキーマカレー。(何がアフリカンなのか?と思って食べたら、オクラが入っていた。帰って調べると、オクラの原産国がアフリカと言われているかららしい・・)食べていたら孔雀が挨拶をしに来た。人に慣れているので、近づいても逃げない。かわいいやつである。メニューのなかに動物園ラーメンというのがあり、気になってはいたが注文しなかった。ふと隣をみると小学生の男の子が動物園ラーメンをたべているではないか! ははぁ、こうきたかぁ(どんなラーメンか気になる方は、ぜひ行ってみてください。笑)。

 腹を満たした後はシャトルバスに乗って園内を巡った。一番高いところまで上って、それからゆらりと歩きながら、オオカミやトラ、アフリカゾウを見る。半円形の巨大ケージのなかで飛ぶオオワシやイヌワシに空を飛ぶ肉食動物の強さと美しさを感じ、フクロウやミミズクに目を見張る。パルマワラビーを触り、後ろ向きに寝るコアラを見た。動物の生態に圧倒された。園内を悠々と歩く孔雀をたくさんみかけた。この動物園で一番自由なのはこの孔雀なのだろうか?と思いながらみていると、孔雀と目があった。僕は思わず会釈をした。そんな僕を見えたのか見えなかったのか、孔雀は憮然としたまま、優雅にまた足音一つ立てず、歩き去っていった。その姿を見送りながら、帰ったらうちの猫目の小動物を可愛がってあげようと思ったのだった。
掲載日付:2008/02/27
沿線ライター:久保修さん
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