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小さいうちから芸術に触れることは、豊かな心を育てるうえでとても大切なこと。そんな芸術の中でも、子どもにとって親しみやすいのが「人形劇」です。今回は、新宿駅から程近いところにある「プーク人形劇場」での人形劇の楽しみ方と、観劇を通じて子どもの芸術の芽をはぐくむテクニックについて、人形劇団プークの制作スタッフである岸本真理子さんに話を伺いました。
●笑って泣いて・・・表情豊かな人形に注目!
人形劇とひと言でいっても、人形を手でつかんで操作するものや棒操りや糸操りなど、さまざまな種類があります。その種類ごとに多彩な表現があることやひとりの役者が複数の役を演じるので豊かな演技力を見られることなどが人形劇の魅力です。そして何より特徴的なのは「人形劇の人形の顔の表情は動かない」ということ。それにもかかわらず、役者がセリフを言ったり動作をつけることで、人形の顔は悲しんだり喜んだり、どういう表情にも見えてきます。無表情だからこそ、動作やセリフによって、観客それぞれのイメージを通して自由に見ることができる。それが人形劇の最大の魅力といえるでしょう。しかも、子どもはイメージの世界を楽しむのが得意です。もちろん、人形に目線がいくよう照明などを工夫しているのですが、子どもは演じている役者が目に入らないくらい芝居の世界に入り込めるのです。だから、芝居は子ども同士で観ることをおすすめします。そのほうが一緒に笑ったり泣いたりできて喜怒哀楽を出しやすいはず。当劇場では子ども席をおとなの席と分けて充分お芝居を楽しんでもらえるよう前列に設けています。また、当劇場では年齢による入場制限はしていません。劇場では、0歳のお子さんも見かけます。芝居を子守唄代わりにして眠っている子や、音楽が流れるとじぃっと舞台を観ている子などみんな思い思いに楽しんでいます。
●「人形劇って楽しい!」って思えることが何より大事
劇団の演目は、昔話やオリジナル作品もあれば『だるまちゃん』『エルマーのぼうけん』シリーズなど絵本が原作のものもありますが、共通して言えるのは、子どもの心に響く作品を選んでいるということ。現在公演中の『わにがまちにやってきた』でも、子どもたちは、街の人たちに遮断された孤独なわにを見て「わにさん、がんばれ!」と応援したり、わにとお別れする男の子の気持ちになって「もう行っちゃうの?」と寂しくなったり、中には、わにとお別れするのが悲しくて泣いてしまう子もいるほど。子どもの共感を呼ぶ作品は、芸術の楽しさを身近に感じることができるので、子どもが芸術に興味をもつ入り口になってくれるはずです。
また、芝居の原作が絵本の場合、観劇後にその絵本を買って帰る方もいます。家に帰ったあとで芝居を思い出しながら原作本を親子で読むのも、人形劇の楽しさをより増幅させる効果が期待できます。当劇団の場合は、原作のまま芝居をするのではなく、必ず脚色して上演しますので、芝居と原作との違いも楽しめるでしょう。
それから、観劇に行くこと自体が楽しい特別な時間であり、劇場そのものが楽しい空間であってほしいですね。だって、芝居を観ている間は異次元の世界に行けるわけじゃないですか。だから、当劇場ではロビーの飾りつけをしたり売店を作ったり、劇場に入った瞬間から「夢が見られる時間」を過ごしてもらえるよう工夫しています。この非日常の時間をもっと楽しむために、よそいきのズボンやワンピースなど、普段より少しおめかしをして出かけるのもおすすめです。劇場にはたまに着物をお召しになっている方さえ見かけます。おめかしをして行くと「観劇に行く」という行為がとびっきり特別で、わくわくするものになりますよ。
●親は芸術を楽しむ手本になって
芸術の芽というのは、経験によって育つところが大きいと考えます。だから、小さい子どもでも自分のイメージで自由に楽しめる人形劇のような芸術には、できるだけ早くから触れさせてあげたいですね。赤ちゃんの頃から芸術に慣れ親しんでいるお子さんは、顔なじみの役者が登場すると歓声をあげるなど、大人顔負けです。
そして何より親は子どもの付き添いで芝居を観るのではなく、一緒に芝居を楽しんで欲しいですね。親が芝居を観て笑ったり、歌に合わせて手拍子をしたりすることで、子どもも真似するようになります。つまり、親が芝居を楽しむ手本になるのです。それに、実際に人形劇を観に行こうと考えるのは親ですし、子どもを劇場に連れて行くのも親です。親が子どもと人形劇に行きたくなることが、結果として子どもに、芸術に親しむチャンスを与えることになるのです。そうした意味も込めて、私たちは、子ども向けの公演であっても大人が何度観ても楽しいと思えるような芝居作りを心がけています。
親子でお芝居を観た帰り道には芝居の感想を語り合ってほしいですね。「あのきつねさんは家に帰ったら何をするのかな」など、親子で物語の世界を想像してみるのも楽しいですね。また、毎回お配りするリーフレットには芝居で歌われた歌の歌詞がついているので、家に帰ってから歌を口ずさめば、芝居の余韻がよみがえるでしょう。
観劇後の感想は、お子さんがどう感じたかが大切なので、親が「こうだったよね」と自分の考えを押し付けるのではなく、○○ちゃんはそう感じたんだ。お母さんは~~って思ったよ」というような声かけをしたいもの。また、小さな子どもは感じたことをうまく説明できないので楽しかった気持ちを絵を描くことで表現するのも楽しいですね。同じ人形を描いても子どもによって見え方が異なり、いろんな絵が生まれます。それぞれの子どもの感じ方があって、それはとても素敵なことだと思います。
最後に1点、みんなで楽しく人形劇を観るに当たって守っていただきたいルールがあります。家で見るテレビと違って大勢で一緒に楽しむお芝居では、観劇中のおしゃべりはルール違反。舞台でのお芝居は、観客一人ひとりに対してそれぞれの出合いがあります。それを尊重してみんなで観劇を楽しみましょう。
来年、人形劇団プークは創立80周年を迎えます。その記念イベントとして、これまでの劇団活動の要となった昔の公演作品を上演したり、糸操りを始めとする多彩な人形の表現スタイルをお見せする予定です。ぜひ劇場に足を運んで、人形劇という総合芸術を親子で楽しんでください。
■スポット紹介
プーク人形劇場
日本初の人形劇専門の劇場として1971年に創設。劇場の母体となる「人形劇団プーク」は1929年に創立。最初は青年たちの人形劇サークルとして始まったが、戦争を挟んだ激動の時代も劇団員の熱い思いによって支えられ、今日では日本を代表する人形劇団にまで成長。現在、総勢70名ほどのスタッフが「人形劇団プーク」の公演活動、「プーク人形劇場」の維持運営、それから映像部門である「スタジオ・ノーヴァ」で活躍している。
■ 住所:渋谷区代々木2-12-3
■ 電話:03-3379-0234(プーク人形劇場)、03-3370-3371(人形劇団プーク) ■ アクセス:新宿駅徒歩1分 ■ URL:http://www.puk.jp/theatre/theater.html ※ご利用の際はあらかじめ電話かホームページの申し込みフォームよりご予約をお願いします。
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小さいうちから芸術に触れることは、豊かな心を育てるうえでとても大切なこと。そんな芸術の中でも、子どもにとって親しみやすいのが「人形劇」です。今回は、新宿駅から程近いところにある「プーク人形劇場」での人形劇の楽しみ方と、観劇を通じて子どもの芸術の芽をはぐくむテクニックについて、人形劇団プークの制作スタッフである岸本真理子さんに話を伺いました。
人形劇とひと言でいっても、人形を手でつかんで操作するものや棒操りや糸操りなど、さまざまな種類があります。その種類ごとに多彩な表現があることやひとりの役者が複数の役を演じるので豊かな演技力を見られることなどが人形劇の魅力です。そして何より特徴的なのは「人形劇の人形の顔の表情は動かない」ということ。それにもかかわらず、役者がセリフを言ったり動作をつけることで、人形の顔は悲しんだり喜んだり、どういう表情にも見えてきます。無表情だからこそ、動作やセリフによって、観客それぞれのイメージを通して自由に見ることができる。それが人形劇の最大の魅力といえるでしょう。しかも、子どもはイメージの世界を楽しむのが得意です。もちろん、人形に目線がいくよう照明などを工夫しているのですが、子どもは演じている役者が目に入らないくらい芝居の世界に入り込めるのです。
劇団の演目は、昔話やオリジナル作品もあれば『だるまちゃん』『エルマーのぼうけん』シリーズなど絵本が原作のものもありますが、共通して言えるのは、子どもの心に響く作品を選んでいるということ。現在公演中の『わにがまちにやってきた』でも、子どもたちは、街の人たちに遮断された孤独なわにを見て「わにさん、がんばれ!」と応援したり、わにとお別れする男の子の気持ちになって「もう行っちゃうの?」と寂しくなったり、中には、わにとお別れするのが悲しくて泣いてしまう子もいるほど。子どもの共感を呼ぶ作品は、芸術の楽しさを身近に感じることができるので、子どもが芸術に興味をもつ入り口になってくれるはずです。
そして何より親は子どもの付き添いで芝居を観るのではなく、一緒に芝居を楽しんで欲しいですね。親が芝居を観て笑ったり、歌に合わせて手拍子をしたりすることで、子どもも真似するようになります。つまり、親が芝居を楽しむ手本になるのです。それに、実際に人形劇を観に行こうと考えるのは親ですし、子どもを劇場に連れて行くのも親です。親が子どもと人形劇に行きたくなることが、結果として子どもに、芸術に親しむチャンスを与えることになるのです。そうした意味も込めて、私たちは、子ども向けの公演であっても大人が何度観ても楽しいと思えるような芝居作りを心がけています。
日本初の人形劇専門の劇場として1971年に創設。劇場の母体となる「人形劇団プーク」は1929年に創立。最初は青年たちの人形劇サークルとして始まったが、戦争を挟んだ激動の時代も劇団員の熱い思いによって支えられ、今日では日本を代表する人形劇団にまで成長。現在、総勢70名ほどのスタッフが「人形劇団プーク」の公演活動、「プーク人形劇場」の維持運営、それから映像部門である「スタジオ・ノーヴァ」で活躍している。
